Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
と思い、この頃のように、独り悩んでいる複雑な気持は、そうした処女心からいつのまにか遠くなっている証拠でもあろうかと考えて来て、針を運ぶ縫物のうえに、何とはなくほろりと涙がこぼれた。
「――いるのか、いやらぬのか。――お通っ、なんでまた灯りを燈さぬのかやい」
いつの間にか夕闇の迫っていた軒先に、外から戻って来るなりこういうお杉隠居の声がしていた。
四
「お帰りなされませ。――今すぐ灯りの支度をいたしまする」
壁の後ろの小部屋へ立ってゆくお通の背へ、じろりと冷たい眼をくれながら、婆はほの暗い畳へ坐った。
灯りを置いた蔭へ手をつかえてお通が、
「お婆様、おつかれでございましょう。きょうはまたどちらまで……」
「問うまでもあるまいに」
と、お杉は、わざとのように厳しい。
「せがれの又八を尋ね、武蔵のありかを捜し歩いているのじゃ」
「すこし脚でもお揉みいたしましょうか」
「脚はさほどでもないが、陽気のせいか、この四、五日は肩が凝る。――揉んでやろうという気があるなら揉んで賜もい」
なにかにつけて、この調子なのだった。しかし、それも又八を尋ねあてて、きれいに過去の話をつけてしまうまでの少しの間の辛抱――と、お通はそっと婆の背へ寄って、