Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
六
(……はてなあ?)
外は昼間よりもよく見えるのである。伝七郎の影は三十三間堂の下から約百歩ほど離れて、背のたかい一幹の松の根かたに足場を踏みしめ、武蔵のすがたが見えるのを、いまやおそしと待ち構えているのだ。
――だが、兵助が胸で計っていた頃あいは、とうに過ぎたのに、武蔵はまだここへ来なかった。宵のうちほどではないが、雪がまだチラチラとこぼれているし、寒さは肌に咬みつくようだし、火の気も酒の気もさめてくるし――伝七郎の焦々している態が、遠くからでもよく分るのであった。
――ざあッ、と突然伝七郎の神経を驚かしたものがあると思うと、それは、梢から滝のように落ちて来た雪に過ぎなかった。
六
もっとも、こういう場合の一瞬というものは、待つ方になると、わずかな間も、耐えきれない焦躁になるのは勿論である。
伝七郎の気持も、太田黒兵助の気持も、その例に洩れない。殊に兵助は、自分のした報告に責任を感じてくるし、寒さは体から霜が立つようだし――もう、一瞬、もう一瞬と、その焦躁を抑えていても依然として武蔵の影は見えて来ないし――
たまらなくなって、彼は、
「どうしたのかなあ?」