Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
ただ温厚な近衛信尹だけが、さすがにお人柄を見せて、
「さてさて、意地の悪い客どもよな。それでは吉野もいずれへともいえまいが、そう無理をいわずに、皆が仲よく一座してはどうじゃの」
と、助け舟を出し、
「そういえば、あちらの座敷には、光悦がただ一人で置き放しになっているというではないか。誰ぞ、光悦をここへ呼んで参れ」
と、ほかの女たちへいって、この場合を紛らせてしまおうとした。
紹由は、吉野のそばへ坐り込んでしまったまま、
「いやいや、呼びに行くには及ばない。わしが唯今、吉野を連れてあちらへ行く」
手を振って止めると、
「なんのなんの」
と、光広もまた、吉野をかかえて離そうとしないのである。
「小癪な公達めが」
と紹由は開き直って、酔いに耀いている眼と杯を突きつけて、光広へいった。
「ではいずれが、花の吉野へわけいるか。この女の眼の前で、酒戦ないたそう」
「酒戦とな。ことも可笑し」
光広はべつの大きな杯を高坏へ乗せて、ふたりの間へ置き、
「実盛どの、白髪を染めてござったか」
「なんのさ、骨細な公卿どのを相手にするに。――いざまいろう。勝負勝負」
「なんでまいるか。ただ交飲むだけでは、興もない」