Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「おいらか、ここに泊っている者だよ。沢庵様と同じお客様なんだ」
「ほうそうか、然らば沢庵どのへ告げてくれぬか。――お国元の但馬から寺中へ宛てて、なにか、火急なお手紙がまいりましたゆえ、南宗寺の者が持って伺いましたと」
「じゃあ待ッといで。今、沢庵さんを、呼んで来てやるから」
城太郎は玄関へ飛び上がった。汚い踵の痕が式台にべたべた残る。そこの衝立の脚に躓いた弾みに、彼が手で抑えていたふところの中から、小さい蜜柑が幾つも転がり出した。
あわてて、蜜柑を掻きあつめ、城太郎は往来を飛ぶように奥へ駈けて行った。ややしばらく経って彼はまたそこへ戻って来て、
「いないよ」
と、待っている南宗寺の使いへいった。
「いるかと思ったら、きょうは、朝から大徳寺へ行ったんだとさ」
「お帰りは分りませぬか」
「もう帰って来るだろ」
「では、待たせて置いてもらいます。どこかお邪魔にならないお部屋はありませんか」
「あるよ」
城太郎は外へ出て来た。この館のことならなんでも弁えているように、心得顔して先に歩き、
「お坊さん、この中で待っているといいよ。ここの中なら邪魔にならないから」
と、牛小屋へ案内した。