Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
すると、彼の挙動に注意しながら、後から尾いて来た女が、
「童。……童」
白い手で招いた。
最初――城太郎は疑わしげな眼を光らして、しばらく、闇の中に立ちどまっていたが、やがてのそのそ戻って来て、
「おいらのことかい」
女の白い顔に、害意のないことを確かめると、彼はまた一歩、近づいて行きながら、
「なんだい?」
と、いった。
女はやさしく、
「おまえかい、夕方、扇屋の入口へ来て、武蔵様に会わせてくれといっていたという子は」
「あ、そうだ」
「城太郎というんでしょう」
「うん」
「じゃあ、そっと、武蔵様に会わせてあげるからこちらへおいで」
「ど、どこへ」
と、今度は、城太郎が尻ごみしてしまう。そこで女が、彼の安心がゆくように説明してやると、城太郎は、
「じゃあおばさんは、吉野太夫っていう人の召使なの」
地獄で仏に会ったような顔を見せ、初めて心をゆるしたように従いて行った。
その引船のことばによると、夕方の騒ぎを耳にすると、吉野太夫はいたく心配して、もし捕まったら、自分が口をきいて助けてやるからすぐ知らせて来るように――もしまた、どこかに潜んでいるのを見つけたら、そっと、裏庭の木戸から、例の田舎の間へ、導き入れて、武蔵に会わせてやるようにという吩咐をうけて来たのだという。