Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
今、妙秀とそうして話していると、ありのままにそこへでも寝ころがって、甘えてみたいような心持を、久しく風雨にばかり曝されて忘れていた肉体の中に、ふいに思い出した。
だが、武蔵には、それができない。
妙秀も、光悦も、この一枚の毛氈のうえに乗っている物は、茶腕一つまでが皆、空の碧さと溶けあい、自然と一つになり、野を飛ぶ小禽とも同じになって、静かに遊び楽しんでいるように見えるが――武蔵ひとりは、継子のようにぽつねんと在って、その姿はどうしても自然とはべつ物の存在としか見えなかった。
四
なにか話を交わしているうちはいいのである、その間は武蔵も、この毛氈のうえの人たちと溶け合って、自分は慰められている。
けれど、やがて妙秀が茶釜に対して沈黙し、光悦が絵筆を持って背を向けてしまうと、武蔵は、たれと語りようもなく、また、なにを楽しむすべも知らず、憶い出されるものは、ただ退屈と、孤独のさびしさだけだった。
(なにが面白くて――この母子はまだ春も浅いのに、こんな枯野へ来て、寒い思いをしているのか?)
武蔵には、この母子の生活が不思議なものに見えてならない。
摘み草が目的なら、もっと暖かくなって人出が賑う頃にもなれば千種も萌えているし花も咲いていよう。