Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
そして常に胸に持っていた武蔵に対する反感も、気概も、自尊心までも同時に失って、ただ正直に自分の意気地なさばかり、心の裡で責めるのであった。
「なにを考え込んでいるのだ――。おいっ、慥かりしろよ」
武蔵は、友の肩を打って、叩いてみても手に感じられるような、その軟弱な意思を叱った。
「いいじゃないか、五年道草をくったら、五年遅く生れて来たと思うのだ。だが、考えようによっては、その五年の道草も、実は尊い修行であったかもわかるまいが」
「面目ない」
「……オオ、話に夢中になって忘れていたが、又八、たった今おれは、おぬしの母親とそこで別れたのだぞ」
「えっ、おふくろと、あったのか」
「なぜ、おぬしは、あの母親の強気と我慢を、も少し血の中に貰って生れて来なかったのだ」
二
この不肖な子を見ていると、武蔵は、あの不幸な母親のお杉婆を、哀れと思わずにいられない。
(なんたるやつだ)
と、腑がいない又八の銷沈している姿が、他人事ならずに、眺められる。
(幼少から母にわかれて、母のない俺のみじめな寂しさを見ろ)
と、いってやりたい。
そもそも。
お杉婆が、あの老齢をもちながら、求めて旅の空に惨苦を舐めているのも、また、自分を目して七生の仇敵とまで思いこんでいるのも、その根本の原因はただ一つ、