Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
――と思ううちに眸を断たれたように雷光を感じると、どこか近くに雷が落ちたらしかった。
「……あっ」
雷ぎらいの又八は、耳の穴をふさいで、楼門の雷神の下に縮こまっていた。
雲が断れると、嘘のように、陽が射してきた。雨がやみ、往来も元に還って、どこかで三味線の音さえ聞えだした。すると、婀娜なすがたの女が、向う側から往来を越えて来て、用ありげに、又八へ笑いかけた。
四
見かけない女である。
「あなた、又八様と仰っしゃるのでしょう」
そういうのだ。
又八が不審って用事を問うと、今、家へ上がっていらっしゃるお客様が、あなたのお友達だそうで、二階からお姿を見かけ、ぜひ引っ張って来いというお吩咐けです、という。
いわれて見ると、なるほど、この神社の界隈には、娼家らしい構えが幾軒も見える。
「……御用がおありならば、直ぐお帰りになってもよござんすから」
と、使いに来た女は、又八のためらいなどは無視して導いて行く。そして近くの娼家へ引っ張って来ると、他の女たちも出て、足を洗ってくれるやら、濡れた着物を脱がすやら下へも措かない。
いったい、おれの友達というお客は誰かと訊いてみても、二階へ行ってみれば分ると、座興にするつもりで明かさない。