Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
三
三
――またよけいなことを訊く。
喰べ物のことをいわなくなったと思うと、今度はませた口で休みなくお喋舌りなのだ。それもよいが、お通と武蔵との仲を、とやかくと穿ってみたり、探ってみたり、からかってみたりする。
(子供のくせに)
と、お通は、胸に傷いところであるだけに、真面目に答える気にはなれない。
こうして牛の背をかりて旅の出来るほどには、体のぐあいも癒くなっては来たが、彼女の病以上の問題は、決してまだ解決はしていない。
あの馬籠峠の――女滝と男滝の滝津瀬には、まだあの時の、自分の泣き声と、武蔵の怒った声が、どうどうと、淙々と咽び合って、そのまま二人の喰い違った気持を百年も千年も、この心が解けあわぬうちは、怨みに残していることであろう。
思うたびに、今でもそれが彼女の耳へ甦ってくる。
(なぜ私は?)
と彼女はあの折に、武蔵が自分へ迫って求めた烈しいそして率直な欲望を、自分もまた、満身の力で拒んでしまったことを、幾たびも、
(なぜか? なぜか?)
と心の中で悔いてみたり、分ろうとする努力をしてみたり、頭から離れぬものとなっているが、果ては、
(男というものは、誰でもあんなことを、女に強いるものなのかしら?)