Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
二
そして自分に出会えば、自分にはいかにも友情の深いようなことをいって――
(俺は、お人好しだ。武蔵に騙られたのだ。その偽ものの友情に涙をこぼしたりなどして……)
と、彼は木連格子に倚りかかりながら、膳所の色街でさんざいわれた――佐々木小次郎の忠言を今、心のうちで呼び返していた。
二
今になって思いあたる――
あの佐々木小次郎が、自分のお人好しを嗤い、武蔵の肚ぐろいことをさんざん罵って、
(尻の毛まで抜かれるぞ)
といった言葉。
それが今、彼の心にぴったりする忠言として、甦って聞えて来る。
同時に、武蔵に対しての、又八の考えは一変した。これまでも、何度となく豹変してはまた持ち直して来た友情ではあるが、今度は今までの憎悪に輪をかけて、
「よくも俺を……」
と、心の底からわき上がる呪いとなって、唇を深く噛んだ。
人を憎んだり嫉んだりすることは、日常、人一倍烈しい質の又八であるが、呪咀するほどの強い意力は、人を恨むことにすら出来ない質の又八であった。
けれど今度という今度こそは、武蔵に対して、七生までの仇のような怨念が醸されてしまった。彼と自分とは、同郷の友として育ちながら、どうしても、生涯の仇に生みづけられて来た悪縁かのように思われて来るのだった。