Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「いや成程、ご不審はごもっともじゃ。――しかしべつだん意味はないので、強いて、何のために、路傍のそれがしが路傍の尊公に、かくまでも親しみを持つかと問わるるならば――一言で申さば――惚れたのでござるよ」

と、いってまた、

「あははは。男が男に、惚れたのでござるよ」

と、いい重ねる。

石母田外記は、これで十分、自分の気持を説明したつもりらしいが、武蔵にとっては、少しも説明されたことにはならない。

男が男に惚れるということはあり得よう。けれど武蔵はまだ、惚れる程な男に会った経験がない。

惚れるという対象に持つには、沢庵は少し恐すぎるし、光悦とは住む世の中が隔たりすぎ、柳生石舟斎となるともう余りに先が高すぎて、好きな人とも呼びかねる。

かくて過去の知己を振向いてみても、男が惚れる男などが、そうある筈のものではない。――それをこの石母田外記は無造作に、

(あなたに惚れた)

と、自分へいう。

お追従であろうか。そんなことを軽々しくいう男はよほど軽薄と思ってもよい。

けれど外記の剛毅な風貌から見ても、そんな軽薄な徒ではないことは、武蔵にも何だか分る気がするのである。