Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
三
武蔵は金の貴重なことを人よりも身に沁みて知っている。なぜならば、孤独である。また旅にばかり暮しているから。――しかし武蔵はまた、金に執着を持ったことがない。それは、孤独の彼には、誰を扶養する責任もない。その身一つは、寺に宿り、野に臥し、時には知己の清浄を恵まれ、なければ喰べずにいても、そう痛痒には感じない。――そのうちに何とかなって来たのが今日までの流浪生活の常であった。
考えてみると、ここまで来た道中の費えも、一切お通が見てくれたのだった。お通は、烏丸家から莫大な路銀を恵まれ、それをもって、道中の経済をしていた上、武蔵へもなにがしかの金を頒けて、
(お持ちになっていらっしゃいまし)
と、渡してくれたものだった。
そのお通からもらった全部を、武蔵は人足たちに皆渡して、
「これでよいか」
といった。人足たちは、掌へ銭を頒け合って、
「ようがす。負けておきましょう。――じゃあ旦那は、諏訪明神の楼門でお待ちなすっていておくんなさい。晩までにゃ、きっと、吉いお報らせをいたしますから」
と、蜘蛛の子みたいに散らかって行った。
三
八方、人手を分けて、探しているとはいえ、この一日を、空しく待っているのも智慧がないので、武蔵は武蔵で、高島の城下から、諏訪一円を歩き暮した。