Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
山賊まがいの藤次が、以前の祇園藤次に返ったところで、大した変りばえもないが、それだけ道中の旅人は明るくなれよう。
「おばさん、あなたも、もう危ない世渡りは、よした方がいいでしょう」
強いられた酒に少し酔って、武蔵がこう意見すると、お甲も、
「なあに、あたしだって好きこのんで、こんなことをしているわけじゃないけれど、京都落ちを極め込んで、御新開の江戸で一稼ぎと来る途中、この人が、諏訪で博奕に手を出して、持物から路銀までみんなはたいてしまい、やむなく、元のもぐさ採りから思いついて、ここで薬草を採って町へ売っては喰べるような始末になってしまったのさ。……もう今夜に懲りたから悪い出来心は起さないようにしますよ」
相変らず、この女は、酔うと以前の婀娜な調子が出る。
もう幾歳だろうか。この女に年齢はないようである。猫は家に飼うと人間の膝に媚態を作るが、これを山に放つと、暗夜にも爛々と光る眼の持主となって、行路病者の生きた肉へも、野辺の送りの柩を目がけても跳びついてくる。
お甲はそれに近い。
「……ねえ、お前さん」
と、藤次を顧みて、
「今、武蔵さんから聞けば、朱実も江戸へ行ったらしい。