Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
三
「いいや、わしは何も仕官は望んでいないが、新将軍の膝下となり、新しく天下へ政道を布く中心地ともなることだから、見学をしておかねばならない。もっとも、将軍家の指南役になら、なってもよいと思っているが……」
甚内は、黙ってしまった。
世間の裏、景気のうごき、人情の種々相にくわしい彼の眼から見て、剣術は上手かどうか知らないが――今の口吻では、語るに足らないと思ったのである。
「さあ、ぼつぼつ出かけようかな」
小次郎を他にして、一同へこう促すと、女郎衆の人数を読んでいたお直という奉公人が、
「おや、女郎衆の頭数が一人足らないじゃないか。いないのは一体誰だえ。――几帳さんか、墨染さんか。ああそこに、二人ともいるね。おかしいねえ、誰だろう?」
三
まさか、江戸へ移住して行く女郎衆の同勢と、道連れになる気もないので、小次郎は先へ一人で歩き出したが、後に残った角屋の大家内は、一人の落伍者のために皆其処を立ちかねて、
「つい、その辺まで、私たちの中に、姿が見えていたのに」
「どうしたのであろ?」
「ひょっと、逃げたのではあるまいか」
などと頻りにうわさしては、二、三の者は、わざわざ探しに道を戻って行った。