Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

七

朱実を連れ戻そうとすると、

「みろ、この女は、やっと虫が納まって、いい気持そうに、おれの腕の中に締められて寝てしまった。おれが連れて帰ってやる」

「だめだよ、おじさん」

「帰れっ」

「……?」

「帰らないな」

ゆっくり、手をのばして、城太郎の襟がみをつかむと、城太郎は、羅生門の綱(渡辺綱のこと)が鬼の腕に耐えるように踏んばって、

「な、なにをするのさ」

「この餓鬼め、溝の水を喰らって帰りたいか」

「なにをっ」

この頃は、体以上の木剣も、やや手について、ひねり腰に抜くがはやいか、牢人の横腰をなぐりつけた。

――しかし、自分の体も途端に、あざやかなもんどりを宙に打って、溝へは落ちなかったが、どこか、そこらの石にでもぶつけたらしく、ううむと唸って、それなり動きもしなかった。

七

ひとり城太郎に限らず子供というものはよく気絶する。大人のような遅疑がないので、事にぶつかると、素純なたましいは、この世とあの世の境を、つい弾みでも、超えてしまうのであろう。

「おーい、子どもう」

「お客さん」

「子ども……ウ」

耳元で、かわるがわるに呼ばれて、城太郎は、大勢の中に介抱されている自分を、ぱちぱち見まわした。