Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
それを手早く掻き集めて黄金の地金といっしょに、陣羽織にくるむと、穴の中へ犬の死骸でも蹴込むように、ずしーんと落した。
土をかぶせる。
足で踏みつける。
そして石を、元のとおりな位置へすえ、新しい土塊れが、そこらに目立たぬように、枯草や木の枝などを撒きちらし、こんどは、自分の身装を、平常の奈良井の大蔵に変えているのだった。
草鞋や脚絆や、不用になった物は、鍬にくくし付けて、人のはいらない藪の中へ投げこんだ。そして十徳を着、十徳の胸へ、雲水の掛けているような頭陀袋をさげ、草履まで穿きかえると、
「アア、一骨だった」
呟いて、丘の彼方へ、さっさと降りて行ってしまった。
その後で、城太郎はすぐ、生き埋めになった黄金のあとに立ってみた。どう見ても、掘りかえしたらしい痕は残っていない。彼は魔術師の掌を見つめるように、大地を見ていた。
「……そうだ。先へ帰っていないと、変に思われるぞ」
町場の燈火が見えているので、もう帰り途の見当はついている。彼は、大蔵とちがう道をえらんで風の子みたいに丘から駈けだした。
何喰わぬ顔をして、旅籠の二階へあがり、自分たちの部屋へ入ってゆくと、いいあんばいにまだ大蔵は戻っていない。