Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
六
「いないんでございますよ。あなたが呼べと仰っしゃった遊女が」
「おかしいじゃねえか、どうしていなくなったんだ」
「今も、親方の甚内様と、どうもふしぎだと、話しているのでございます。以前も、小仏の途中で、お連れのお武家様と甚内様が話していると、その間に、あの娘の姿が見えなくなってしまったことがあるんでございますからね」
六
棟上げをしたばかりの普請場であった。屋根は葺きかけてあるが、壁もない、羽目板も打ってない。
「――花桐さん、花桐さん」
遠くのほうで呼ぶ声がする。山のように溜っているかんな屑や、材木の間を、何度も、自分を探しまわる人影が通った。
「…………」
朱実はじっと息をころして隠れていた。花桐というのは、角屋へ来てからの自分の名である。
「……いやなこった。誰が出てやるものか」
初めは、客が小次郎と分っていたので、姿を隠したのであるが、そうしている間に、憎らしいものは、小次郎だけではなくなった。
清十郎も憎い、小次郎も憎い、八王子で、酔っている自分を馬糧小屋へ引きずりこんだ牢人者も憎い。
毎夜のように、自分の肉体をおもちゃにして行く遊客たちもみな憎い。