Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
五
それも、山の下までは、仏を馬の背にのせて行けばよいのであった。ただ嶮しい山道だけ、武蔵が仏を背負って上った。
墓所といっても、大きな栗の木の下に、丸い自然石が一つ、ぽつねんとあるだけで、ほかに塔婆一つない山だった。
仏を埋け終ると、少年は花を手向け、
「祖父も、祖母も、おっ母さんも、みんなここに眠ってるんだぜ」
と、掌をあわせた。
――何の宿縁。
武蔵も共に仏の冥福を念じて、
「墓石もそう古くないが、おまえの祖父の代から、この辺に土着したとみえるな」
「ああそうだって」
「その以前は」
「最上家の侍だったけど、戦に負けて落ちのびる時、系図も何もみんな焼いちまって、何もないんだって」
「それほどな家柄なら墓石にせめて、祖父の名ぐらい刻んでおきそうなものだが、紋印も年号もないが」
「祖父が、墓へは、何も書いてはいけないといって死んだんだって。蒲生家からも、伊達家からも、抱えに来たけれど、侍奉公は、二人の主人にするものじゃない。それから、自分の名など、石に彫っておくと、先の御主人の恥になるし、百姓になったんだから、紋も何も彫るなっていって、死んだんだって」
「その祖父の、名は聞いていたか」