Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

武蔵は、馬から降りた。

そしてあたりを見廻した。一本の枯れ木の手頃なのを拾い、それを三之助に持たせて、自分も有り合う木切れを取って、こういった。

「師弟になるかならぬか、まだ返辞はできぬ。その棒を持って、わしへ打ち込んで来い。――おまえの手すじを見てから、侍になれるかなれないか決めてやる」

「……じゃあ、おじさんを打てば、侍にしてくれる?」

「……打てるかな?」

武蔵はほほ笑んで、木の枝を構えてみせた。

枯れ木をつかんで立ち上がった三之助は、むきになって、武蔵へ打ちこんで来た。武蔵は、仮借しなかった。三之助は、何度も、蹌いた。肩を打たれ、顔を打たれ、手を打たれた。

(今に、泣き出すだろう)

と思っていたが、三之助は、なかなかやめなかった。しまいには、枯れ木も折れてしまったので、武蔵の腰へ武者ぶりついて来た。

「猪口才な」

と、わざと大げさに、武蔵は彼の帯をつかんで、大地へたたきつけた。

「なにくそ」

と、三之助はまた、刎ね起きてかかってくる。それをまた、武蔵は、つかみ寄せて、高々と、日輪の中へ双手で差し上げながら、

「どうだ、参ったか」

三之助は、眩しげに、宙できながら答えた。