Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

地獄の一丁目まで行って気がついたばかりの又八は、まだ十分われに返っていなかったであろう。半ば、夢中のように、体を刎ね起すと、

「そうだ、そうしていろ」

六部は満足して、彼の胴と脚の部分を、そのまま松の木の幹へ縛りつけてしまった。

「……あっ?」

又八は初めて、こう驚き声を洩らした。小次郎でなくて、六部であったことは、意外であったらしい。

「こら、偽小次郎、よくも逃げ足早く逃げまわって、人に世話を焼かせおったな。……だが、もう駄目だぞ」

六部はこういって、おもむろに又八を拷問し始めた。

まず最初の折檻が、平手でぴしりと頬を打って来た。その手でまた、額をつよく押されたので、又八の後頭部が樹の幹にぶつかってごつんと鈍い音を出した。

「あの印籠は、どこから手に入れたものか、それを申せ、こら、申さぬか」

「…………」

「いわぬな」

と、六部は、又八の鼻をつよく抓む。

抓んでおいて、又八の顔を、左右へ烈しく振り動かすので、又八は妙な悲鳴をあげて、

「……ひゅう、ひゅう」

いう、という意味らしいので六部は鼻から手を放し、

「申すか」

こんどは明瞭に、

「いう」

と、又八が眼からなみだをこぼして答える。