Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
べつな役人が、側から厳しい目で詰問した。
「御府内へ、何用を帯びて行かっしゃるか」
武蔵はすぐ答えた。
「何処とて、的もなく歩く修行者でござる」
「的もなく?」
と、咎め立てして、
「修行するという的があるではないか」
「…………」
苦笑を見せると、
「生国は?」
と、たたみかける。
「美作吉野郷宮本村」
「主人は」
「持ちませぬ」
「然らば、路用その他の出費は、誰から受けておらるるか」
「行く所でいささか余技の彫刻をなし、画などを書き、また寺院に泊り、乞う者があれば太刀技もおしえ、人々の合力に依って旅しておりますが……それもない時には、石にも臥し、草の根や木の実を喰ろうておりまする」
「ふーム……。で、いずれからお越しなされた」
「陸奥に半年あまり、下総の法典ヶ原に、百姓の真似事して、二年ほどを過ごし、いつまで、土いじりもと存じて、これまで、参ってござります」
「連れの童は」
「同所で拾い上げた孤児――伊織と申し、十四歳に相成ります」
「江戸で泊る先はあるのか。無宿の者、縁故のない者は、一切入れぬが」
限りがない。後ろにはもうたくさんな往来人がつかえている。素直に答えているのも莫迦らしく、ひとにも迷惑と考えて、武蔵は答えた。