Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

四

と、いう。

武蔵は、辞を低く、

「名乗るほどの者ではありませんが、牢人宮本武蔵という者です」

すると、無法者は、

「えっ?」

と、目をみはって、しばらく凝視していたが、

「これから気をつけろ」

伊織へ一言、捨て科白を置いて、さっと身を翻すように立去ろうとした。

「待てっ」

処女のように柔和だった者の口から、こう不意に一喝くって、無法者はびくっとしながら、

「な、なにしやがんでい」

つかまれている脇差のこじりをぎ払おうとして振向いた。

「汝の名を申せ」

「おれの名」

「ひとの名を聞いたまま、会釈もなく立ち去る法があろうか」

「おらあ、半瓦の身内のもんで、菰の十郎ってんだ」

「よし、行け」

突っ放すと、

「覚えてやがれ」

と、菰はのめッたまま素っ飛んで行った。

伊織は、自分のかたきを打って貰ったように、

「いい気味だ、弱虫」

またとない頼母しい人のように武蔵を見上げて、その側へくッついた。

町へと、歩き出しながら、

「伊織」

「はい」

「今までのように、野原に住んで、栗鼠や狐が隣近所のうちはよいが、このように多くの人の住んでいる町なかへ来たら、礼儀作法を持たねばならぬぞ」

「はい」