Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「――では、わしはこれで別れるぞ、おまえも国へ帰れ」
「え、このまま」
「されば、実はこれから、朱実という女子の逃げた先をさがしに行く。――ちと気が急くから」
「ア、お待ちください。まだ、大事なものをお忘れでございましょう」
「なにを」
「先師の鐘巻自斎様から、甥の天鬼様へ託して、あなたへお譲りなされた中条流の印可の巻」
「ウム、あれか」
「死んだ天鬼様の懐中から抜き取って、この偽小次郎の又八と申す者が、今も肌身につけて所持しておるといいました。――それは当然、自斎先生から、あなたへ授けられたもの。……思えばこうしてお会い申したのも、自斎先生の霊や、天鬼様のおひきあわせであったかも知れません。どうかそれをこの場において、お受取りくださいまし」
源八は、そういって、又八の懐中へ手を突っ込んだ。
どうやら生命は助かりそうな様子なので、又八は、腹巻の底からそれを引出されても、惜しい気もちなどは少しもしなかった。むしろ、その後、懐中も気も軽々した。
「これです」
源八が、印可の巻物を、亡き人に代って小次郎の手へ授けると、小次郎は、押しいただいて感泣するかと思いのほか、
「――要らない」