Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
叔父なら断るであろうと思いながら、彼は、その願いを断れなかった。
むしろ、先刻宗矩からの話もあったところなので、ちょうどよい折かも知れないとさえ考えられて、
「よろしい。しかし、一刻も争う旅。馬や駕を乗りついでも、わしに尾いて来られるかな」
と、念を押した。
「はい。どんなにお急ぎ遊ばしても――」
と、お通は欣しげに、涙をふいて、兵庫の身支度をいそいそ手伝った。
四
お通はまた、但馬守宗矩の部屋へ行って、自分の心もちを述べ、長い月日の恩を謝して、暇乞いをすると、
「おお、行ってくれるか。そなたの顔を見たら、さだめし御病人もお欣びになるであろう」
と、宗矩も異存なく、
「大事に参れよ」
路銀や小袖の餞別など、何くれとなく、さすがに離情をこめて心づけてくれる。
家臣たちは、門をひらき、挙ってその両側に並行して見送った。
「おさらば」
と、兵庫は一同へあっさり挨拶を残して出て行く。
お通は腰帯を裾短にくくり、塗の市女笠に、杖を持っていた。――その肩に藤の花を担わせたら、大津絵の藤娘になりそうな――と人々はその優婉かな姿が、あしたからここに見られないのを惜しんだ。
乗物は、駅路の行く先々で、雇うことにして、夜のうちに、三軒家あたりまでは行けようと兵庫とお通は、日ヶ窪を立った。