Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
(ばかげている!)
自嘲して――さっさと笈ずるの側へゆき、印可の巻をその笈の内へ納めると、
「おさらば」
一言捨てて、たったと彼方へ立ち去ってしまった。
後見送って――
「ハハハハ、憤って行きおったわい。田舎者め」
それから今度は、樹の幹に悄然としている又八へ向い、
「偽者」
「…………」
「これっ偽者、返辞をせぬか」
「はい」
「おぬし、名は何という」
「本位田又八」
「牢人か」
「はあ……」
「意気地のない奴だ、師匠からくれた印可さえ返してやったわしを見習え。それくらいな気概がなくては、一流一派の祖にはなれんと思うからだ。……それをなんだ、他人の名をかたり、他人の印可を盗んで、世間を渡りあるくとは、さもしいにも程がある。虎の皮をかぶっても猫は猫でしかないぞ。あげくの果ては、こういう目に遇うのがオチだ。すこしは身にしみたか」
「以後気をつけます」
「いのちだけは助けてやる。しかし向後のこともあるから、その縄目は、ひとりでに解ける時までそうしておく」
いい渡すと小次郎は、何思ったか、小柄でそこの樹の皮を削りだした。又八の頭の上に、削られた松の皮が落ちて、襟の中まで入った。