Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

仮名がき経典

一

去んでくだされ」

「今日は外で、ちと耳よりな拾い物をしたので、はやく聞かしてやろうと思って帰って来たのに」

「後で聞きましょう」

「いつ終るのか」

「一字一字、菩提の心になって、ていねいに書くので、一部書くにも三日はかかる」

「気の永げえこったな」

「三日はおろか、この夏中には、何十部も認めましょう。そして生命のあるうちには、千部も写経して世の中の親不孝者に、遺して死にたいと思っているのじゃ」

「ヘエ、千部も」

「わしの悲願じゃ」

「その写した経文を、親不孝者へ遺すというのは、いったいどういう理由か、聞かしてもらいてえもんだな。自慢じゃねえが、こう見えても、親不孝の方じゃあ、おれも負けねえ組だが」

「おぬしも、不孝者か」

「ここの部屋にごろついている極道者は、みんな親不孝峠を越えて来た崩れにきまってらアな。――孝行なのは、親分くれえのもんだろう」

「嘆かわしい世の中よの」

「あはははは。ばあさん、ひどくおめえ悄気てるが、おめえの子も、極道者とみえるな」

「あいつこそ、親泣かせの骨頂。世に、又八のような不孝者もおろうかと、この父母恩重経の写経を思い立ち、世の中の不孝者に読ませてやろうと悲願を立てたが――親泣かせは、そんなにも、多いものかのう」