Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
お秀はまたお秀で、それにはいっこう頓着なく、言葉もかけずに、そっと室の内に入って来た。
彼女は何より先にまず、枕元にある膳を眺めた。膳の上は汚ならしかった。横倒しに引ッ繰り返された牛乳の罎の下に、鶏卵の殻が一つ、その重みで押し潰されている傍に、歯痕のついた焼麺麭が食欠のまま投げ出されてあった。しかもほかにまだ一枚手をつけないのが、綺麗に皿の上に載っていた。玉子もまだ一つ残っていた。
「兄さん、こりゃもう済んだの。まだ食べかけなの」
実際津田の片づけかたは、どっちにでも取れるような、だらしのないものであった。
「もう済んだんだよ」
お秀は眉をひそめて、膳を階子段の上り口まで運び出した。看護婦の手が隙かなかったためか、いつまでも兄の枕元に取り散らかされている朝食の残骸は、掃除の行き届いた自分の家を今出かけて来たばかりの彼女にとって、あまり見っともいいものではなかった。
「汚ならしい事」
彼女は誰に小言を云うともなく、ただ一人こう云って元の座に帰った。しかし津田は黙って取り合わなかった。
「どうしておれのここにいる事が知れたんだい」
「電話で知らせて下すったんです」