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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

百四十六

「お前が厭でないにしたところで、おれが厭なんだ、あんな男にお前を合わせるのは。それにあいつがまたお前に聴かせたくないような厭な用事を持ち込んで来たもんだからね」

「あたしの聴いて悪い用事? じゃお二人の間の秘密なの?」

「そんな訳のものじゃないよ」と云った津田は、自分の上に寸分の油断なく据えられたお延の細い眼を見た時に、周章てて後を付け足した。

「また金を強乞りに来たんだ。ただそれだけさ」

「じゃあたしが聴いてなぜ悪いの」

「悪いとは云やしない。聴かせたくないというまでさ」

「するとただ親切ずくで寄こして下すった手紙なのね、これは」

「まあそうだ」

今まで夫に見入っていたお延の細い眼がなお細くなると共に、微かな笑が唇を洩れた。

「まあありがたい事」

津田は澄ましていられなくなった。彼は用意を欠いた文句を択り除ける余裕を失った。

「お前だって、あんな奴に会うのは厭なんじゃないか」

「いいえ、ちっとも」

「そりゃ嘘だ」

「どうして嘘なの」

「だって小林は何かお前に云ったそうじゃないか」

「ええ」

「だからさ。それでお前もあいつに会うのは厭だろうと云うんだ」

「じゃあなたはあたしが小林さんからどんな事を聴いたか知っていらっしゃるの」