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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

五十三

「あなたのような落ちついた方でも、少しは周章たでしょうね」

「少しどころなら好いですが、ほとんど夢中でしたろう。自分じゃよく分らないけれども」

「でも殺されるとは思わなかったでしょう」

「さよう」

三好が少し考えていると、吉川はすぐ隣りから口を出した。

「まさか殺されるとも思うまいね。ことにこの人は」

「なぜです。人間がずうずうしいからですか」

「という訳でもないが、とにかく非常に命を惜しがる男だから」

継子が下を向いたままくすくす笑った。戦争前後に独逸を引き上げて来た人だという事だけがお延に解った。

五十三

三好を中心にした洋行談がひとしきり弾んだ。相間相間に巧みなきっかけを入れて話の後を釣り出して行く吉川夫人のお手際を、黙って観察していたお延は、夫人がどんな努力で、彼ら四人の前に、この未知の青年紳士を押し出そうと試みつつあるかを見抜いた。穏和というよりもむしろ無口な彼は、自分でそうと気がつかないうちに、彼に好意をもった夫人の口車に乗せられて、最も有利な方面から自分をみんなの前に説明していた。

彼女はこの談話の進行中、ほとんど一言も口を挟さむ余地を与えられなかった。