Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
十五
彼はやむをえなければ、お延の忠告通り、もう一返父に手紙を出して事情を訴えるよりほかに仕方がないと思った。それには今の病気を、少し手重に書くのが得策だろうとも考えた。父母に心配をかけない程度で、実際の事実に多少の光沢を着けるくらいの事は、良心の苦痛を忍ばないで誰にでもできる手加減であった。
「お延昨夜お前の云った通りもう一遍御父さんに手紙を出そうよ」
「そう。でも……」
お延は「でも」と云ったなり津田を見た。津田は構わず二階へ上って机の前に坐った。
十五
西洋流のレターペーパーを使いつけた彼は、机の抽斗からラヴェンダー色の紙と封筒とを取り出して、その紙の上へ万年筆で何心なく二三行書きかけた時、ふと気がついた。彼の父は洋筆や万年筆でだらしなく綴られた言文一致の手紙などを、自分の伜から受け取る事は平生からあまり喜こんでいなかった。彼は遠くにいる父の顔を眼の前に思い浮べながら、苦笑して筆を擱いた。手紙を書いてやったところでとうてい効能はあるまいという気が続いて起った。彼は木炭紙に似たざらつく厚い紙の余りへ、山羊髯を生やした細面の父の顔をいたずらにスケッチして、どうしようかと考えた。