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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

百十二

「お前は始めてさ。おれは何度だか分りゃしない。いったい何でもないのに高尚がるのが彼奴の癖なんだ。そうして生じい藤井の叔父の感化を受けてるのが毒になるんだ」

「どうして」

「どうしてって、藤井の叔父の傍にいて、あの叔父の議論好きなところを、始終見ていたもんだから、とうとうあんなに口が達者になっちまったのさ」

津田は馬鹿らしいという風をした。お延も苦笑した。

百十二

久しぶりに夫と直に向き合ったような気のしたお延は嬉しかった。二人の間にいつの間にかかけられた薄い幕を、急に切って落した時の晴々しい心持になった。

彼を愛する事によって、是非共自分を愛させなければやまない。――これが彼女の決心であった。その決心は多大の努力を彼女に促がした。彼女の努力は幸い徒労に終らなかった。彼女はついに酬いられた。少なくとも今後の見込を立て得るくらいの程度において酬いられた。彼女から見れば不慮の出来事と云わなければならないこの破綻は、取も直さず彼女にとって復活の曙光であった。彼女は遠い地平線の上に、薔薇色の空を、薄明るく眺める事ができた。そうしてその暖かい希望の中に、この破綻から起るすべての不愉快を忘れた。