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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

百四十二

二人はそこをふり返らないで話を切り上げる訳に行かなかった。夫人が踵を回らさないうちに、津田は帰った。

「それで私が行くとしたら、どうなるんです、先刻おっしゃった事は」

「そこです。そこを今云おうと思っていたのよ。私に云わせると、これほど好い療治はないんですがね。どうでしょう、あなたのお考えは」

津田は答えなかった。夫人は念を押した。

「解ったでしょう。後は云わなくっても」

夫人の意味は説明を待たないでもほぼ津田に呑み込めた。しかしそれをどんな風にして、お延の上に影響させるつもりなのか、そこへ行くと彼には確とした観念がなかった。夫人は笑い出した。

「あなたは知らん顔をしていればいいんですよ。後は私の方でやるから」

「そうですか」と答えた津田の頭には疑惑があった。後を挙げて夫人に一任するとなると、お延の運命を他人に委ねると同じ事であった。多少夫人の手腕を恐れている彼は危ぶんだ。何をされるか解らないという掛念に制せられた。

「お任せしてもいいんですが、手段や方法が解っているなら伺っておく方が便利かと思います」

「そんな事はあなたが知らないでもいいのよ。まあ見ていらっしゃい、私がお延さんをもっと奥さんらしい奥さんにきっと育て上げて見せるから」