Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
六十五
「それっきりかね」
「だって、あたしあの方の一軒置いてお隣へ坐らせられて、ろくろくお顔も拝見しなかったんですもの」
「予言者をそんな所へ坐らせるのは悪かったかも知れないがね。――何かありそうなもんじゃないか、そんな平凡な観察でなしに、もっとお前の特色を発揮するような、ただ一言で、ずばりと向うの急所へあたるような……」
「むずかしいのね。――何しろ一度ぐらいじゃ駄目よ」
「しかし一度だけで何か云わなければならない必要があるとしたらどうだい。何か云えるだろう」
「云えないわ」
「云えない? じゃお前の直覚は近頃もう役に立たなくなったんだね」
「ええ、お嫁に行ってから、だんだん直覚が擦り減らされてしまったの。近頃は直覚じゃなくって鈍覚だけよ」
六十五
口先でこんな押問答を長たらしく繰り返していたお延の頭の中には、また別の考えが絶えず並行して流れていた。
彼女は夫婦和合の適例として、叔父から認められている津田と自分を疑わなかった。けれども初対面の時から津田を好いてくれなかった叔父が、その後彼の好悪を改めるはずがないという事もよく承知していた。だから睦しそうな津田と自分とを、彼は始終不思議な眼で、眺めているに違ないと思っていた。