Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
百八十七
「じゃ問答ついでに、もう一つ答えてくれませんか」
「ええ何なりと」
清子はあらゆる津田の質問に応ずる準備を整えている人のような答えぶりをした。それが質問をかけない前に、少なからず彼を失望させた。
「何もかももう忘れているんだ、この人は」
こう思った彼は、同時にそれがまた清子の本来の特色である事にも気がついた。彼は駄目を押すような心持になって訊いた。
「しかし昨夕階子段の上で、あなたは蒼くなったじゃありませんか」
「なったでしょう。自分の顔は見えないから分りませんけれども、あなたが蒼くなったとおっしゃれば、それに違ないわ」
「へえ、するとあなたの眼に映ずる僕はまだ全くの嘘吐でもなかったんですね、ありがたい。僕の認めた事実をあなたも承認して下さるんですね」
「承認しなくっても、実際蒼くなったら仕方がないわ、あなた」
「そう。――それから硬くなりましたね」
「ええ、硬くなったのは自分にも分っていましたわ。もう少しあのままで我慢していたら倒れたかも知れないと思ったくらいですもの」
「つまり驚ろいたんでしょう」
「ええずいぶん吃驚したわ」
「それで」と云いかけた津田は、俯向加減になって鄭寧に林檎の皮を剥いている清子の手先を眺めた。