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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

百四十三

今秀子さんの門を出たばかりのところだって。――まあ好かった。悪口でも云ってるところへ来られようもんなら、大恥を掻かなくっちゃならない」

いったん坐った夫人は、間もなくまた立った。

「じゃ私はもうお暇にしますからね」

こんな打ち合せをした後でお延の顔を見るのは、彼女にとってもきまりが好くないらしかった。

「いらっしゃらないうちに、早く退却しましょう。どうぞよろしく」

一言の挨拶を彼女に残したまま、夫人はついに病室を出た。

百四十三

この時お延の足はすでに病院に向って動いていた。

堀の宅から医者の所へ行くには、門を出て一二丁町東へ歩いて、そこに丁字形を描いている大きな往来をまた一つ向うへ越さなければならなかった。彼女がこの曲り角へかかった時、北から来た一台の電車がちょうど彼女の前、方角から云えば少し筋違の所でとまった。何気なく首を上げた彼女は見るともなしにこちら側の窓を見た。すると窓硝子を通して映る乗客の中に一人の女がいた。位地の関係から、お延はただその女の横顔の半分もしくは三分の一を見ただけであったが、見ただけですぐはっと思った。吉川夫人じゃないかという気がたちまち彼女の頭を刺戟したからである。