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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

九十六

津田が自分の細君に対する虚栄心から、内状をお延に打ち明けなかったのを、お秀はお延自身の虚栄心ででもあるように、頭からきめてかかったのである。そうして自分の誤解をそのまま京都へ伝えてしまったのである。今でも彼女はその誤解から逃れる事ができなかった。したがってこの事件に関係していうと、彼女の相手は兄の津田よりもむしろ嫂のお延だと云った方が適切かも知れなかった。

「いったい嫂さんはどういうつもりでいらっしゃるんでしょう。こんだの事について」

「お延に何にも関係なんかありゃしないじゃないか。あいつにゃ何にも話しゃしないんだもの」

「そう。じゃ嫂さんが一番気楽でいいわね」

お秀は皮肉な微笑を見せた。津田の頭には、芝居に行く前の晩、これを質にでも入れようかと云って、ぴかぴかする厚い帯を電灯の光に差し突けたお延の姿が、鮮かに見えた。

九十六

「いったいどうしたらいいんでしょう」

お秀の言葉は不謹慎な兄を困らせる意味にも取れるし、また自分の当惑を洩らす表現にもなった。彼女には夫の手前というものがあった。夫よりもなお遠慮勝な姑さえその奥には控えていた。

「そりゃ良人だって兄さんに頼まれて、口は利いたようなものの、そこまで責任をもつつもりでもなかったんでしょうからね。