Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
百三十七
聴くとも聴かないとも云いかねた彼は躊躇した。
「まあ云って見て下さい」
「まあじゃいけません。あなたがもっと判切しなくっちゃ、私だって云う気にはなれません」
「だけれども――」
「だけれどもでも駄目よ。聴きますと男らしく云わなくっちゃ」
百三十七
どんな注文が夫人の口から出るか見当のつかない津田は、ひそかに恐れた。受け合った後で撤回しなければならないような窮地に陥いればそれぎりであった。彼はその場合の夫人を想像してみた。地位から云っても、性質から見ても、また彼に対する特別な関係から判断しても、夫人はけっして彼を赦す人ではなかった。永久夫人の前に赦されない彼は、あたかも蘇生の活手段を奪われた仮死の形骸と一般であった。用心深い彼は生還の望の確としない危地に入り込む勇気をもたなかった。
その上普通の人と違って夫人はどんな難題を持ち出すか解らなかった。自由の利き過ぎる境遇、そこに長く住み馴れた彼女の眼には、ほとんど自分の無理というものが映らなかった。云えばたいていの事は通った。たまに通らなければ、意地で通すだけであった。ことに困るのは、自分の動機を明暸に解剖して見る必要に逼られない彼女の余裕であった。