Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
五十九
ふとこんな事を考えた彼女は、昨夕吉川夫人から受け取ったらしく自分では思っている、夫に対する一種の感情を、つい電話口で洩らしてしまった。
「今日は岡本へ行かなければならないから、そちらへは参りませんって云って下さい」
それで病院の方を切った彼女は、すぐ岡本へかけ易えて、今に行ってもいいかと聞き合せた。そうして最後に呼び出した津田の妹へは、彼の現状を一口報告的に通じただけで、また宅へ帰った。
五十九
お時の御給仕で朝食兼帯の午の膳に着くのも、お延にとっては、結婚以来始めての経験であった。津田の不在から起るこの変化が、女王らしい気持を新らしく彼女に与えると共に、毎日の習慣に反して貪ぼり得たこの自由が、いつもよりはかえって彼女を囚えた。身体のゆっくりした割合に、心の落ちつけなかった彼女は、お時に向って云った。
「旦那様がいらっしゃらないと何だか変ね」
「へえ、御淋しゅうございます」
お延はまだ云い足りなかった。
「こんな寝坊をしたのは始めてね」
「ええ、その代りいつでもお早いんだから、たまには朝とお午といっしょでも、宜しゅうございましょう」
「旦那様がいらっしゃらないと、すぐあの通りだなんて、思やしなくって」