Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
六十二
「いくらお誂らえ向でも、こう年を取っちゃ仕方がない。ねえお延」
年の割にどこへ行っても若く見られる叔母が、こう云って水々した光沢のある眼をお延の方に向けた時、お延は何にも云わなかった。けれども自分の感情を隠すために、第一の機会を利用する事は忘れなかった。彼女はただ面白そうに声を出して笑った。
六十二
親身の叔母よりもかえって義理の叔父の方を、心の中で好いていたお延は、その報酬として、自分もこの叔父から特別に可愛がられているという信念を常にもっていた。洒落でありながら神経質に生れついた彼の気合をよく呑み込んで、その両面に行き渡った自分の行動を、寸分違わず叔父の思い通りに楽々と運んで行く彼女には、いつでも年齢の若さから来る柔軟性が伴っていたので、ほとんど苦痛というものなしに、叔父を喜こばし、また自分に満足を与える事ができた。叔父が鑑賞の眼を向けて、常に彼女の所作を眺めていてくれるように考えた彼女は、時とすると、変化に乏しい叔母の骨はどうしてあんなに堅いのだろうと怪しむ事さえあった。
いかにして異性を取り扱うべきかの修養を、こうして叔父からばかり学んだ彼女は、どこへ嫁に行っても、それをそのまま夫に応用すれば成効するに違ないと信じていた。