Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

八十八

私はまた生きてて人に笑われるくらいなら、いっそ死んでしまった方が好いと思います」

小林は何にも答えなかった。しかし突然云った。

「ありがとう。御蔭でこの冬も生きていられます」

彼は立ち上った。お延も立ち上った。しかし二人が前後して座敷から縁側へ出ようとするとき、小林はたちまちふり返った。

「奥さん、あなたそういう考えなら、よく気をつけて他に笑われないようにしないといけませんよ」

八十八

二人の顔は一尺足らずの距離に接近した。お延が前へ出ようとする途端、小林が後を向いた拍子、二人はそこで急に運動を中止しなければならなかった。二人はぴたりと止まった。そうして顔を見合せた。というよりもむしろ眼と眼に見入った。

その時小林の太い眉が一層際立ってお延の視覚を侵した。下にある黒瞳はじっと彼女の上に据えられたまま動かなかった。それが何を物語っているかは、こっちの力で動かして見るよりほかに途はなかった。お延は口を切った。

「余計な事です。あなたからそんな御注意を受ける必要はありません」

「注意を受ける必要がないのじゃありますまい。おおかた注意を受ける覚がないとおっしゃるつもりなんでしょう。