Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
九十九
「その代り火が移らなければそれまででしょう、幾箱燐寸を抱え込んでいたって。嫂さんはあんな人に火をつけられるような女じゃありませんよ。それとも……」
九十九
津田はお秀の口から出た下半句を聞いた時、わざと眼を動かさなかった。よそを向いたまま、じっとその後を待っていた。しかし彼の聞こうとするその後はついに出て来なかった。お秀は彼の気になりそうな事を半分云ったぎりで、すぐ句を改めてしまった。
「何だって兄さんはまた今日に限って、そんなつまらない事を心配していらっしゃるの。何か特別な事情でもあるの」
津田はやはり元の所へ眼をつけていた。それはなるべく妹に自分の心を気取られないためであった。眼の色を彼女に読まれないためであった。そうして現にその不自然な所作から来る影響を受けていた。彼は何となく臆病な感じがした。彼はようやくお秀の方を向いた。
「別に心配もしていないがね」
「ただ気になるの」
この調子で押して行くと彼はただお秀から冷笑かされるようなものであった。彼はすぐ口を閉じた。
同時に先刻から催おしていた収縮感がまた彼の局部に起った。彼は二三度それを不愉快に経験した後で、あるいは今度も規則正しく一定の時間中繰り返さなければならないのかという掛念に制せられた。