Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
百八十六
表で認めて裏で首肯わなかった津田の清子に対する心持は、何かの形式で外部へ発現するのが当然であった。
百八十六
「昨夕は失礼しました」
津田は突然こう云って見た。それがどんな風に相手を動かすだろうかというのが、彼の覘いどころであった。
「私こそ」
清子の返事はすらすらと出た。そこに何の苦痛も認められなかった時に津田は疑った。
「この女は今朝になってもう夜の驚ろきを繰り返す事ができないのかしら」
もしそれを憶い起す能力すら失っているとすると、彼の使命は善にもあれ悪にもあれ、はかないものであった。
「実はあなたを驚ろかした後で、すまない事をしたと思ったのです」
「じゃ止して下さればよかったのに」
「止せばよかったのです。けれども知らなければ仕方がないじゃありませんか。あなたがここにいらっしゃろうとは夢にも思いがけなかったのですもの」
「でも私への御土産を持って、わざわざ東京から来て下すったんでしょう」
「それはそうです。けれども知らなかった事も事実です。昨夕は偶然お眼にかかっただけです」
「そうですか知ら」
故意を昨夕の津田に認めているらしい清子の口吻が、彼を驚ろかした。