Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
十
「考えごとをするなんて、どうしたんです。もう遅いんだから、行って寝たらどうです。」
「でも、お部屋だと何も考えられませんもの。」
彼女は、いつの間にかまた腰をおろしていた。
村川は、生意気なことをいうと思ったが、しかしそれ以上、立ち入って命令することなどは出来なかった。
彼は、つぎつぎに襲って来る凶い偶然に、ほとんど泣きたくなった。だがどうすることも出来なかった。無理に一枝を追ったりなんかすると、すぐ京子に告口されることは明かだった。
彼は応急手段として四阿へ近づいて来る倭文子の姿を見つけたら、一枝に知られないようこっちから中途で迎えようと思いながら、四阿を背にして目をみはっていたが、人影も見えず、それらしい物音もしなかった。闇の中で、時計をすかして見ると、もう十時になろうとしていた。
十
村川は、いらいらしさで焼ける胸を抑えて、二三分辛抱していたが、どうにもたまらなくなって、再び一枝の方にふりむいた。
「ねぇ。一枝さん、僕はここで一人になって、考えたいんですがねぇ。」
闇の中で一枝はちょっと村川の方を振り返ったらしかった。だが、ただ顔がほのじろく動いただけで、笑っているのか、悲しんでいるのか、わからなかった。