Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
四
小石川の植物園と同じ丘陵の上にある庭は大樹が多かった。それをそのままに、少しも人工を加えない庭は、かえって高雅で幽邃な感じがした。
村川は、庭の一隅に立っている四阿の縁に腰をかけて、夜の爽やかな静寂の中に坐っていると、ふとその静寂を破るかすかな足音を聞いた。
振り返ると、一人の女性が樹の間を洩れる月光を半身に受けて、しずかに大樹の下を歩いているのであった。
四
彼は初め、その女性を女中か何かでないかと思った。だが、そのしとやかな歩き振りで、京子か、でなければ倭文子に違いないことがわかった。もし倭文子だとすると、こんないい機会はない。彼は、そう思って躍り上る胸を押えながら、四阿を離れ、すぐ傍の大樹の陰に身をひそめて、その女性の近づくのを待っていた。
近づくままに、彼女は月光のあかるい条の中に、全身を現わした。顔は半面しか照し出されていなかったが、オールバックに結った額際は、すぐ倭文子であることがわかった。
だが、急に飛出して行って、彼女をびっくりさせてはならない。そう思ったので、彼は彼女が二三間行きすぎるのを待って、低い声で呼んでみた。
「倭文子さん!」