Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

「あれは十七歳の折、関ヶ原の戦に出て、徳川家に弓を引いた人間じゃ。しかも郷里には、数々の悪業をのこし、村では一人として、武蔵をよういう者はない。それに幾多の人を殺して、このばばにも仇と狙われて、諸国を逃げ廻っている悪い素姓の浮浪人」

「ま、待て、婆」

「いいえいの、まあ、聞いて賜も。そればかりではない。わしが伜の許嫁のお通、それをまあ手なずけたりしての、友だちの女房ともきまった女子をば誘拐して……」

「ちょっと、ちょっと」

新蔵は、手で抑えて、

「いったい、ばばの目的は何じゃ。武蔵の悪口をそうしていい歩くことか」

「あほらしい。天下のお為を思うてじゃ」

「武蔵を讒訴することが、なんで天下のお為になるか」

「ならいでか」

ばばは開き直って、

「――聞けば、当家の北条安房どのと、沢庵坊の推挙で、どうあの口巧い武蔵が取入ったやら、近いうちに、将軍家の御指南役のひとりに加えられるという噂じゃが」

「誰に聞いたか、まだ御内定のことを」

「小野の道場へ行った者から、確かに洩れ聞いておる」

「だから、どうだと申すのか」

「――武蔵という人間は、今もいうた通りな札つき者、そのような侍を、将軍家のお側へ出すさえ忌わしいのに、御指南役などとは、もってのほかとこの婆は申すのじゃ。