Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

「何が」

「お処刑はこれでいいんだろうか。わたしたちはまだ斬られていない」

「首なんか斬られてたまるものかね。床几に掛けたお役人が、ふたりへ言い渡したじゃないか」

「何といって?」

「江戸表から追放を申しつけると。冥途へ追放でなくってよかったね」

「あっ。……じゃあ生命は」

頓狂な声を出した。よほど欣しかったにちがいない。又八道心は起って歩き出した。朱実のほうを見もしなかった。

朱実は、手を髪へやって、乱れ毛を掻きあげていた。襟を直し、帯をしめ直した。そうしている間に、又八道心の姿はもう草の彼方に小さくなっていた。

「……意気地なし」

彼女は唇を曲げてつぶやいた。割竹の傷みが疼くたびに、彼女はよけい世の中に強くなろうとした。その底には、数奇な運命にねじけて来た性格が、ようやく年を経て、妖冶な花をもちかけていた。

逃げ水の記

一

もうこの屋敷へ預けられてから数日。

伊織は、悪戯に飽きた。

「沢庵さんはどうしたのだろ?」

そう訊ねる彼のことばの裏には、沢庵の帰りよりは、師の武蔵を案じる憂いがこもっていた。

北条新蔵は、その気持を、いじらしく思って、

「父上もまだお退城りにならぬから、ずっと、御城内にお泊りとみえる。