Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

権之助の手は、すぐ伊織の頭の上へ来て、自分の胸へかかえ寄せた。

もし前に泣いていなかったら、伊織はここで泣いたかも知れなかったが、彼の頬は月にてらてら乾いていた。

「先生のいる秩父へ行こうと思って……」

いいかけてふと、伊織は、武蔵の乗っている駒の鞍や毛並を見つめ、

「オヤ。この馬は……おいらの乗って来た馬だ」

権之助は、笑って、

「おまえのか」

「ああ」

「誰のか知らぬが、入間川の近くに、うろついていたので、お体のつかれている武蔵様へ、天の与えと、拾っておすすめ申したのだ」

「アア、野の神さまが、先生の迎えに、わざとそっちへ逃がしたんだね」

「だが、おまえの馬というのもおかしいではないか。この鞍は、千石以上の侍のものだが」

「北条様の厩の馬だもの」

武蔵は降りて、

「伊織、ではそちは今日まで、安房どののおやしきにお世話になっていたのか」

「はい。沢庵さまに連れられて――沢庵さまがいろといったんです」

「草庵はどうなっている」

「村の人たちがすっかり繕してくれました」

「では、これから戻っても、雨露だけはしのげるな」

「……先生」

「うむ。なんじゃな」

「瘠せた……どうしてそんなに瘠せたんですか」