Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
「先生、どうしたんです。身体じゅうに……そんなに」
傷々しげに、眉をしかめて、武蔵の肌の奥を覗こうとすると、
「何でもない」
武蔵は、話を反らして、
「馬にも、何かやったか」
「ええ、飼糧をやりました」
「あの駒を、明日は北条どののお邸へ、かえして来なければいけないぞ」
「はい。夜が明けたら、行って参ります」
伊織は寝坊しなかった。赤城下の邸で、新蔵が心配しているに違いないと、翌る朝は、真っ先に起きて戸外へとび出した。
そして、朝飯前に一鞭と――駒の背にまたがるなり駈け出すと、ちょうど武蔵野の真東から、のっと大きな日輪が草の海を離れかけていた。
「ああ!」
伊織は、駒を止めて、驚きの眼をすえていたが、急に駒を返して、草庵の外から、
「先生、先生。早く起きてごらんなさい。いつかみたいな――秩父の峰から拝んだ時みたいな――それはそれは大きなお陽さまが、きょうは、草の中から、地面を転がって来るように昇っていますよ。権之助さんも、起きて来て拝んだがいいよ」
「おう」
と、武蔵がどこかでいう。武蔵はもう起きて、小鳥の声の中をあるいていた。行って来ます、と元気よく駈けてゆく馬蹄の音に、武蔵が森から出て、眩ゆい草の海を見送っていると、伊織の影は、一羽の鴉が、太陽の火焔の真っただ中へ翔け入って行くように、またたく間に、小さくなり、黒い