Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

「生意気いうな――」

と、伊織も負けていない。小さい肩を聳やかしていった。

「こう見えても、わしだって兵法者の弟子だぞ」

「よし、後で彼方へ来い。周りに人がいると思って大口を叩いても、人中を離れたら立対えまい」

「何を。その口を忘れるな」

「きっと来るか」

「何処へさ」

「興福寺の塔の下まで来い。助太刀など連れずに来い」

「いいとも」

「おれが手を挙げたら、来るんだぞ。いいか覚えてろ」

口喧嘩だけで、一時は別れた。丑之助はそのまま、湯を貰いに行ったのである。

何処からか彼が土瓶の湯を提げて戻って来た頃、野の真ん中には、草埃が煙っていた。法師たちの試合が始まったのである。群衆は、大きな輪を作って、それを見物に詰め寄った。

輪のうしろを、土瓶を提げた丑之助が通った。権之助と並んで見ていた伊織は、振向いて、丑之助のほうを見た。丑之助は、眼で挑んだ。

(後で来い!)

伊織も眼で答えた。

(行くとも。覚えてろ)

内侍ヶ原ののどかな春も、試合がはじまると一変して、時々あがる黄色い埃に、群衆は、武者押しのような声を揚げた。

勝つか負けるか。

勝つ位置へ自己を躍り上げる。

試合はそれだ。