Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

といって知れ渡っているので、秀吉の亡き後は、その余風もだいぶ廃っていたが、まだ年々製って乞われる檀家へ贈る慣わしは残っていた。

「――そんなわけで、わしを始め十人ほどの職方が、お山に雇われて来ておりますのじゃ」

おあんさんの御亭主である杜氏の藤六は、その夜、客の権之助の不審を解いて、そんなことも話した。

それから、権之助の頼みについては、

「お易いことじゃ。御孝心に依ることでもあれば、明日、僧正さまにおねがいして上げよう」

と、いってくれた。

翌る日、その家の一間に起き出た頃は、もう藤六は見えなかったが、やがて午少し過ぎ姿を見せ、

「僧正さまにお願いしたら、さっそく承知して下された。わしに従いてお出でなされ」

と、いう。

案内されて、権之助は藤六の後ろに従い、伊織は権之助の腰にちょこちょこついて行った。四方は幽翠な峰で、散り残った山ざくらが白く、七堂伽藍は、天野川の渓流が繞るふところ谷にあり、山門へ渡る土橋から下をのぞくと、峰の桜が片々と流れにせかれて落ちてゆく。

伊織は、襟を合せた。

権之助も、身が緊まった。何とはなく、山巒の気と、坊舎の荘厳に打たれたのである。